バター・ピッコロの事件簿 その3
みなさんこんにちは、バター・ピッコ・・・
失礼しました。
みなさんこんにちは、バター・ピッコロ(食事中)です。
今日もボクが携わった数々の事件について、みなさんにお話していきましょう。
事件その3 「ピンボールの魔術師」
思えばそれは、ボクのおなかが他のポニーに比べて少しふくよかだったことが招いた悲劇だったのかもしれません・・・。
ある日、ボクの担当S口さんが、先輩のY井さんに言いました。「ピッコロがすごいビビリで、何かあるとすぐに驚くんです」。Y井さんは言いました。「そんなの慣れだよ、慣れ。毎日驚いていれば、そのうち飽きるって!」。その日から、ボクの苦難が始まりました。Y井さんはボクの驚き癖を直すため、毎日毎日ボクの馬房の前を通る度、突然ジャンプをしたり、スライディングをしてみたり、横歩きをしてみたり、シェイクしたりラトルしたりロールしたり・・・。その度にボクが驚くと、ゲラゲラ笑って「いや、私は決しておもしろいからやってるんじゃなくて、心からピッコロのことを思ってやってるんだよ?」と言います。ボクはもう身も細る思いでした(細りませんでしたけど)。
その日もY井さんがボクの馬房の前を通りがかりました。ボクは息をつめました。Y井さんは何もせず、通り過ぎていきました。ボクがホッと胸を撫で下ろしたその時です。Y井さんが後ろ歩きで、しかも凄い勢いで戻ってきたのです!あまりの驚きに思いっきり後ずさったボクは、勢いあまって後ろの壁にぶつかりました。そしておなかの弾力性のためか、壁から跳ね返って、また馬房の前に返ってきてしまったのです。Y井さんは驚いて、感心したようにボクを見ていました。
こうしてボクは世界でも希少な、ウェルシュ・バウンド・ポニーとして認定を受けました。何でもウェルシュ・バウンド・ポニーは現在、世界でボクただ1頭しかいないそうです。でもその認定ができるのは世界でY井さんだけだそうなので、それがどのぐらい名誉なことなのか、ボクにはよくわかりません。
※ポニーを意味もなく驚かすのは大変危険な上、気の毒なのでやめましょう。
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